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住む
千守泰貴
稲取小学校教諭

東伊豆町民インタビューNO.52 千守泰貴さん

荒武
荒武

本日は2021年4月から稲取小学校の教諭として東伊豆へ移住された、千守泰貴(ちもりたいき)先生にインタビューさせていただきます。 

千守先生が東伊豆にどのような魅力を感じて移住されたのか、小学校での教育にかける思いなどを伺っていこうと思います。

千守先生、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

まず、東伊豆とのご縁や移住の経緯についてお教えいただいてもよろしいでしょうか?

よろしくおねがいします。

幼少期は神奈川県の相模湖の近郊で暮らしていました。

当時の旅行では毎年伊豆を訪れており、伊東、下田、東伊豆など旅行で行く楽しい場所で憧れの場所でした。

10歳のときに父が家業を手伝うことになり愛媛県に引っ越し、大学で再度関東で生活をしてそのまま埼玉県で教員を10年ほどやっていました。

埼玉県で家庭を持ちましたが、そこはあくまで仕事の場所という感覚が強く、自分たちの本当に暮らしたい場所で子育てをしていきたいという気持ちがあって、東伊豆町にやってきました。

他の移住地候補はなく東伊豆一択でした。

 

なんでこんな田舎にきたんだい?という地元の方からの声もありますが、海と山に囲まれてた環境で子育てができて、教員としても豊かな自然に囲まれた地域で教育に携わることができているので、毎日のように引っ越してきてよかったねと家族で話しています。

この生活には、一生飽きることはないだろうなと確信しています。

千守さん
千守さん
荒武
荒武

千守先生の中に伊豆への憧れが幼少期の原体験としてあったんですね!

ご家族で東伊豆の生活を満喫されているとのこと何よりでございます。

子育て環境を求めて伊豆一択だったというお話を伺いましたが、伊豆のどのようなところに魅力を感じられていたのでしょうか?また、実際お住まいになられて、いかがお過ごしですか?

子どもたちには自然に触れて育ってもらいたいと思っています。

埼玉では隣に住んでいる人が誰かもわからない、挨拶することすら不審者かもしれないと警戒されるような環境の中で子どもを育ててもいいのかなと疑問を持っていました。

こちらの環境は、近くに住んでいる人も顔見知りでご近所付き合いもあるし、すれ違う人とも元気にこんにちは〜と挨拶したりできるんです。

子どもが少ないからこそ大切にしてもらえるという良さがあると思っていて、人との関わりが確実に深まっている実感があります。

子どもたちには町の中で愛される子どもになってほしいですし、将来的には町のために活躍できる子どもに育ってもらいたいという願いも持っています。

 

私も妻も自然が身近にあるのが当たり前の環境で育ってきたので、東伊豆の環境について抵抗はなかったです。

 

休日は家族で庭に出るか、海に出るかのどちらかで過ごしており、釣った魚や家庭菜園の食材を子供と味わうことができるのもここに来たからこそできることですね。

千守さん
千守さん

来てみてよかったと思うことは、子供が社交的になったことですね。

上の子は引っ込み思案だったけど、深く関われる大人たちが増えたので心を開くようになったり、下の子は元気いっぱい野生児のように、物怖じしなくなって、いろんなことに挑戦しています。

 

埼玉では休日にはイオンに行くしかなかった生活が、学校や家の近所の人たちとのつながりで交流を楽しむこともできるようになりました。

幼稚園のママ友の方たちやそのつながりでパパ友に釣りを教えてもらえたりできて楽しくてしょうがないですね。

来てよかったなという思いがたくさんありすぎます(笑)

千守さん
千守さん
荒武
荒武

ご家族で充実した伊豆ライフを送られているんですね!

僕もその一人ですが、千守先生ご一家の暮らしぶりに憧れる家族がこれからきっとたくさん増えるんだろうなと思いました!

次は小学校の先生である千守先生に質問です。

お仕事のスタンスで大切にされていることをお教えいただいてもよろしいでしょうか?

社会科を専門に勉強し、これまで社会科を中心に教科指導してきました。

想いとしては東伊豆を愛する子どもたちを育てたいということがあって、社会科の目標としても「地域社会に対する誇りと愛情」を育むことを掲げているのでそこを深めていきたいと思っています。

子供たちには伊豆を愛して、自分がこの地域が好きだから暮らすんだと思える人に育ってもらいたいです。

 

着任早々に子どもたちに将来地元を出たいかどうか聞いてみたことがあったんですが、東京に行きたい人がほぼ全員でした。

これにはびっくりして「僕はあなた達の地元に魅力を感じて、あなた達が行きたいと思っている都会から移り住んできたんだよ。」「観光のお客さんたちはわざわざ2時間3時間かけてお金を払って泊まりにきて、楽しかったって言ってまた来るんだよ。」ということを意識的に伝えさせてもらっています。

この町にいずれ帰ってきたいと思ってもらうためには、小学生のうちから地元に魅力・誇り・愛情を持っていることが大切で、それを伝えられるのが学校だと思っていて、私は教育を通して伊豆を愛する人を育てたいです。

 

学校はこれからの地域を担う子どもたちに直接関われる場所だから、教育を通してそこになにかできないかなと強く強く感じているんです。

千守さん
千守さん
荒武
荒武

子どもたちにとって貴重な時間を過ごす小学校で自分たちの暮らす町を愛してくれている千守先生のような方に教えてもらえたらとても充実した学校生活になるんだろうなと稲取小学校の子供たちが羨ましく感じます!

地域を創っていくのは人ですから、これからも地域愛を持った人たちに暮らし継がれていく町になるといいですよね。

ちなみに授業では具体的にどのようなことを教えられているのでしょうか?

私は現在5年生の担任をしているので、日本国土や産業について指導しています。

教科書の内容は日本全国という広いエリアに飛んでしまうんですが、私はその要素が全部伊豆につまっていると考えていて、農業学習だったらみかん、水産業の学習だったらキンメダイ、いろんな魅力が詰まっている、工業については静岡県全体に広げればヤマハやホンダなど有名企業がありますよね。

身近な地域教材を扱って、学習を進めることで子どもたちが改めて地域の魅力に気づけるのではないかと思っています。

 

3年生は市町村のことを考える。

ふたつぼりや天草のこと、消防や警察のはたらき、私たちの町の移り変わり、カリキュラムが変わって、町の歴史を学び、これからの発展を考えることを文部科学省では学習に位置づけています。

 

4年生は静岡県のことを考える。

県の特色を学ぶ、観光・自然を生かしている特色がある自治体として河津の桜まつりが取り上げられています。できたら伊豆地方の観光・自然を活かした町として伊豆半島のことを静岡県の小学生たちに学んでもらいたいです。

 

6年生は時間軸で歴史・国際・政治を学ぶというカリキュラムになっています。

 

このことについて3年生から学校が本気で取り組めば子どもたちに地域愛が育まれるはずで、おとなになっていずれ帰ってきてくれたり、友達を連れて帰省してくれたりするんじゃないかなと、そういった東伊豆出身者の郷土愛が広げていけたらいいなと思います。

千守さん
千守さん

荒武
荒武

学年ごとに体系的に構成されている社会科のカリキュラムにできるだけ地域教材を入れて、子供たちにいかに自分ごととして考えてもらうかの工夫がされているんですね。

地域愛をもったお子さんがこれからもたくさん排出されるであろう東伊豆の未来は明るいですね!!

千守先生が埼玉で先生をされていたときと、今ではどのような違いがありますか??

伊豆の子どもたちは人懐っこくて、違う学年の子たちでも新しくやってきた私に寄ってきてくれて声をかけてくれます。

全校の児童が自分を知っているという感覚ははじめてでした。

以前は全校生徒が800人いる学校にいたので、子どもとの距離感の近さや人懐っこさ、仲の良さ、親同士や子どもたち同士の関係も幼稚園・保育園からの付き合いだと思うので深いなと感じています。

保護者のみなさんも温かく、よそ者だからとのけものにするんじゃなくて、なにか助けてあげたいと思ってもらえていて、様々な場面で声かけてもらったり教えてもらったり、助けていただいています。

 

また、地域で子どもを育てるという感覚があるなと思っていて、役場主催の夏の水泳教室が開かれたり、算数の補習指導を地域の方が応援に来てくれたり、毎週水曜日、放課後学習室にも地域の方が子どもたちの学習支援に来てくれたりと、まちぐるみで子どもを育てようという取り組みが多いのが特徴だなと感じています。

 

また地域に開かれているなと感じることも多く、キンメダイを漁協が給食用に卸してくれたり、アジのさんが焼きという郷土料理をを4年生に漁協の婦人会のみなさんを中心に指導しに来てくれたり、馬鹿囃子を地域の保存会が教えてくれるなど、地域とのつながりは広く深く、町の人たちが子どもたちをとても大切にしてくれているということを強く感じます。

 

東伊豆含めた賀茂地域の教育の良さは引き継ぎつつ、この地域に少しでも自分の首都圏での知識や経験を伝えられたらいいなと思っています。

現在、情報教育の担当をやっていますが、業務改善の可能性があるシステムややり方を先生たちにお伝えし、それいいですね!そうしようよ!と理解を得ながら導入してくださって、ありがたかったです。

授業の中でのICT機器の活用を前任の先生から引き継いで、昨年度末に配備されたギガスクール端末を授業の中で有効的に使えるように前任の流れを汲みながら担わせてもらったりしています。

 

ここは強調したいことなのですが、東伊豆は決して都会に引けを取らないくらい教育環境が整っています!

教育委員会とも連携が深く、学校のニーズに併せてた細やかな対応や予算取りをしてくれていて、大きい自治体では教育委員会がトップダウンでやってしまうことも、東伊豆町役場と密にコミュニケーションを取りながら進められることは東伊豆の強みです。

教育委員会側からはICT機器など設備の購入についても相談を逐一入れてくれるんです。

設備機器導入や使い方に関しては前任教諭や教育委員会の担当者とのやり取りを経て、より良い教育環境が整いつつあると思います。

千守さん
千守さん

昨年は40人、現在は19人と半分の人数を受け持つことになりました。

単純計算で、一人ひとりとの子どもとのコミュニケーションの時間が倍取れるようになります。

以前の小学校では1コマの授業が45分で、1人1分しか発言出来ない環境でした。もしかしたら授業で一言も言葉を発することができなかったという日もあるかもしれません。

ここでは全員が授業に参加しないと前に進まないので、そうはいきません。

体育の時間も見てあげられる回数が増えますし、丸付けで長蛇の列ができることもないし、先生も真面目で優秀な先生方がたくさんいらっしゃいます。

もう一度いいますが、最高の環境がここにあります!ということをもう一度言っておきます(笑)

私の子どもも埼玉にいたら普通の子で先生からも何も言われずに、卒業してしまうような子になってしまったかもしれません。

しかし東伊豆だったら、幼稚園のうちから先生に目をかけてもらえて小学校に入ってからもきっと担任の先生との信頼関係や友達とのつながり、授業の中での参画機会が得られる期待もあるので、この子育て環境は東伊豆の魅力の一つだと思っています。

千守さん
千守さん
荒武
荒武

少子化が進み、教育については若干あきらめムードだったんですが、千守先生のお話を伺って、子どもが少ないからこその強みの出し方があるんだとわかり、東伊豆の教育について希望を持つことが出来ました!

最後になりますが、千守先生がこれは言っておきたいということがあればお願いします!

学校教員として声をかけてもらっていると思うので、繰り返したいのは、この地域でこの教育環境で育つということはすごくいい機会なんだよ、子どもの特性を伸ばせる機会がたくさんある土地なんだよということをいわゆる子育て世代の方たちには思ってもらいたいですし、地域にも期待してもらいたいし、そこに応えたいという思いがあります。

そして子どもたちが、小学校楽しかったなと思える時間があればあるほど、東伊豆に帰ってきたいと思う子たちが増えるんじゃないかな、とにかく楽しく!いい思い出をこの稲取小学校で作ってもらいたいです!

千守さん
千守さん
荒武
荒武

心強いお言葉ありがとうございました!

自信を持って子育てしていける土地なんだという新しい発見がありました!

これからの千守先生の東伊豆でのますますのご活躍、心より応援しております!

本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました!!