住む
東伊豆インタビュー栁瀬可奈子さん(後編)
さて、前編では柳瀬さんがどのようにして陶芸からまちづくりへと関心を広げ、東伊豆へ移住することになったのか。また、取り組まれてきた活動など伺いましたが後編ではより深く「よりみち135」での活動や今後の展望について詳しく聞かせてください。
はい、よろしくお願いします!
まず、「よりみち135」についてもう少し詳しく教えてください。
「よりみち135」は、もともと閉園した幼稚園を地域の交流スペースとして再活用するプロジェクトです。
地域の人がふらっと立ち寄れることはもちろん、何かをやってみたいと思った人が、少しずつその一歩を踏み出せる場所として育てていきたいと考えています。
テーマカラーに選んだのはグリーンです。海や魚といった東伊豆らしさを直接表現するのではなく、もっとニュートラルに、いろいろな世代や関心を受け止める場所にしていきたいと思い決めました。ロゴで使用している丸や三角、四角といった形には、元幼稚園ならではの軽やかさや親しみやすさで考えました。
施設の中身が具体化していく過程に深く関わってきました。壁紙や家具、照明の色など細かな部分まで選びながら、よりみち135がどんな空間であるべきかを考え続けました。そうした積み重ねの中で、「自分が関わる以上、当事者として責任を持たないといけない」という感覚が強くなりました。
なるほど、きっと何かを始めたいけど、、と思っている人はよりみち135という場所ができることではじめの一歩を踏み出す勇気が湧いてくること間違いなしですね。 柳瀬さんが活動を通して大切にしている事を教えてください。
はい、特に大切にしたいと考えている事は創作や表現の入り口を地域の中にひらくことです。
その象徴的な取り組みのひとつが、ZINE制作です。
町で事業をしている人や、これまで広報物などを作ってきた人たちに声をかけながら、「仕事として見せている顔」だけではない、その人の個人的な興味や感覚を表現として掘り起こしていきたいと考えています。意外と読書好きだったり、趣味の一面があったり。そうした普段は見えにくい部分が、ZINEという形になることで、町の中に新しい面白さが立ち上がるのではないかという発想です。
また、よりみち135にはリソグラフ印刷機や陶芸の道具も入り、これまで町の中ではなかなか触れにくかった創作体験ができるようになります。
まずは「やってみる」ことそのものを楽しんでもらいたいです。
最初から上手にできる必要はなく、体験してみた先で「自分にもできるかもしれない」と感じる人が増えていくこと。その先に、自分で企画したり、出店したりする人が育っていく流れを思い描いています。

すごくいい視点だと思います。 「地域の人を“事業者”としてだけでなく、一人の表現者として見直していく」という発想に、よりみち135の面白さがよく表れていると感じました。ZINEやリソグラフ、陶芸といった手触りのある創作環境があることで、「見る側」だった人が「やってみる側」に移れる入口になっているのがとても魅力的です。 そうした表現の入口を実際にひらいていく場として、プレオープンはどんな手応えがありましたか?
プレオープンは、大きな手応えと学びの両方があった時間でした。
特に印象的だったのは、子どもたちの反応でした。
レゴの壁の企画には想像以上の盛り上がりがあり、「子どもたちはちゃんと集まるんだ」と実感できたことが、グランドオープンに向けた安心材料にもなりました。
一方で、大人の来場については課題も感じました。
具体的に使ってくれそうな人たちは来てくれたものの、「なんとなく気になっている人」や「町の新しい場所として様子を見たい人」まで十分に届いたかというと、まだ工夫の余地がある。プレオープンの伝え方によって、「これは自分には関係ない」と感じてしまった人もいたのではないかとおもいました。
また、どのタイミングで人が集まりやすいのか、どのプログラムをどう配置するのかといった、運営面での具体的な学びも多かったです。
人が実際に入って初めて見えることがたくさんあり、プレオープンは「できて終わり」ではなく、ここからどう育てていくかを考えるスタートでもありました。

なるほど、子どもたちの反応という手応えと、大人への届き方という課題の両方が見えたことで、プレオープンが単なるお披露目ではなく、今後につながる大事な機会だったことが伝わります。 そうした手応えや課題を踏まえて、どんな場にしていきたいと考えていますか?
グランドオープンを前にした今、ようやく形にできるフェーズに入ったなと実感しています。
準備の段階では、頭の中で想定を重ねたり、見えない不安と向き合ったりする時間が長く続きました。けれどプレオープンを実践し、実際に人が来て、体験し、使い始める中で、よりみち135の本当の価値が立ち上がってくる段階に入ろうとしています。
今後の理想は、協力隊だけで回す施設ではなく、地域の人たちが自分の企画を持ち込み、主体的に場を使っていけたらと思います。
イベントカレンダーに、週替わりでいろいろな人の取り組みが並び、この場所を「借りる」だけでなく、「自分でも何かやってみる」人が増えていく。そうした循環が生まれれば、よりみち135はもっと面白い場所になっていくはずです
その一方で、最初の一歩を踏み出すには少し背中を押されたい人もいると思います。まずは自分が体験する側として参加し、その次に出店したり企画したりする側へと進んでいける流れを作れたらと思っています。「やってみたいけど、まだ自信がない」という人も、この場所で少しずつオーガナイザーへ育っていけるような仕掛けを考えてます。

場の立ち上がりだけでなく、その先に「地域の人が主体的に使う場所」へ育っていく未来がしっかり見えてきます。よりみち135を、参加する場から挑戦する場へ育てていきたい思いがよく伝わります。 最後に、これからよりみち135に関わってみたいと思っている人たちへ、メッセージをお願いします。
よりみち135は、完成された答えを見せる場所ではなく、これから地域の中で育っていく場所にしていけたらと思います。誰かが準備したものを受け取るだけではなく、自分でも何かを試してみることができる場所。
そして、その小さな挑戦の痕跡が、少しずつ町の中に重なっていく場所にしていきたいです。
グランドオープンは2026年4月25日(土)ですので、ぜひ遊びに来てください!!
柳瀬さんの今後の活動、ますます楽しみになってきました!本日はありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました!