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森本健介さん
地域おこし協力隊

東伊豆町民インタビューNO.60 森本健介さん

荒武
荒武

今回は今年度より東伊豆町の地域おこし協力隊に就任した森本健介さんにインタビュー。

森本さんは私が東伊豆に関わるよりも前から東伊豆町と関係を構築し、私も含めてこれまで多くの学友たちに東伊豆の魅力を教えてくれた人物でもあります。

そんな森本さんには、10年越しの移住に至った経緯や地域おこし協力隊として今後の展望を伺っていきたいと思います。

森本さん本日はどうぞよろしくお願いいたします。

まずはじめに、森本さんが東伊豆に関わるようになったきっかけをお教えください。

よろしくお願いします。

東伊豆町との関わりは、2011年8月2日〜12日の約2週間、東伊豆町の企画調整課の事業にて、地域づくりインターン生として受け入れてもらったことからはじまりました。

 

そもそものきっかけは学生たちで構成される「地域づくりインターンの会」という団体に私が所属していたことです。

そこでは都市部の学生と地方自治体をマッチングさせ、それぞれの学生がインターン生として地域の魅力を学ばせてもらうという機会がありました。

当時は約10地域が登録しており、学生は50人程度が所属しており、選考会にて東伊豆町の職員さんから町のお話を聞かせてもらい、関心を持ったため東伊豆町へのインターンを決めました。

森本さん
森本さん

東伊豆町の2週間のインターンでは、町内巡り、農業体験(JAみかん選別、トマト収穫)、ちびっこフェスタの設営運営、町営サッカー場にてキャンプ体験、地域の案内看板製作、キンメ漁体験、けやき公園で陶芸体験、2週間のインターン事業報告・提言といった様々な体験をさせていただき、充実した時間を過ごさせてもらったことを今でも鮮明に覚えています。

 

インターン生として受け入れてもらい、東伊豆町は温泉地の趣深い印象がありいい町だなと心から思えたのですが、建物が老朽化して廃れている印象のエリアもあるんだなともったいなさを感じたので、そういった景観を刷新していけたらいいのではないか?と提言させてもらいました。

森本さん
森本さん

提言はしたが、次に繋がるアクションを何も起こせていないことにモヤモヤしながら、インターン後も年2回ほど東伊豆に通い、来訪の際は友人を連れて来ては町の紹介をして、地域へ若者を連れてくるという役を担っていました。

 

大学4年生のときには、インターン生として一緒に受け入れてもらっていた明治大学の学生が、東伊豆の農家さん宅に滞在しながら農業の実習をさせてもらう「ファームステイ」という取り組みをスタート。

 

自分もなにかできたらとずっとモヤモヤしていたので、思い切ってインターン時に受け入れ担当だった役場職員さんに東伊豆の空き家の活用ができないかと相談させてもらったところ、物件提供なら可能だという回答をいただけて、プロジェクトを立ち上げる準備を進めました。

 

所属していた大学では学生の有志活動に上限50万円の補助が出る制度があることを知っていたので、それを原資にプロジェクトを立ち上げようと計画し、仲間を集め、補助金獲得のための資料を作成し、無事上限額である50万円の調達に成功。

当時の私たちは50万円でなにができるのかあまりわかっていませんでしたが、やる気だけは満ち溢れていました。

これが今でも東伊豆を始めとして全国で空き家改修活動を展開する学生団体「空き家改修プロジェクト」立ち上げのストーリーになります。

森本さん
森本さん
荒武
荒武

改めてお話を聞かせてもらうと、「空き家改修プロジェクト」の立ち上げ以前にインターン生として東伊豆の中で濃厚なつながりができていて、森本さんが築いてきた地域との信頼関係の上で改修活動が成り立っていたんだなということを感じました。

当時、何も文脈を知らなかった私たちを仲間に引き込んでくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです…

そんな学生時代に思い入れがあった土地に時を経て移住してきたとき、今と昔で東伊豆町の印象の違いを感じたことなどあったか教えてもらってもいいでしょうか。

インターン当時に行ったお店がなくなり新しいお店ができていたり、仲良くしていた地元の小学生が大学生になっていたり、伊豆稲取駅にあったキンメダイの像が今は直売所こらっしぇの敷地に移動していたり、滞在していた空き家がなくなっていたり、自分の知っている東伊豆も少しづつ変わっているんだなという印象を受けました。

 

もともと学生時代は、東伊豆の他にも新潟県、群馬県、マレーシアに行ったりもしましたが、様々なことに挑戦したい自分にとって一番合いそうな気質を感じることができたのが東伊豆でした。

なので空き家改修の活動もここでやろうと思えたし、地域おこし協力隊として戻ってくることができたんですよね。

森本さん
森本さん
荒武
荒武

時代の流れによって変容するものはもちろんあるけど、挑戦に寛容な地域の気質など普遍的な魅力が東伊豆にはあるということなのかもしれませんね!

挑戦に寛容といえば、今でも東伊豆で活動をする学生がたくさんいます。

学生時代から10年間地域に関わっている森本さんから、現在東伊豆に関わる大学生さんたちに活動を活性化させたり、地域の魅力を体感してもらうためにどんなアドバイスがありますか?

地域に赴き活動する学生にとって、この土地に住む人から聞くリアルな声は大学やニュースで聞く情報よりも生々しくショッキングなものだと思います。

実際、自分たちが始めた空き家改修プロジェクトも地域のリアルが垣間見える機会が多々ありました。

 

しかし、地方地域の日常にお邪魔できる体験というのは、本来その土地に暮らすことでしか得られない情報に触れられる貴重な機会で、その経験は今後の人生様々な機会で役立つはずです。

 

今、物足りなさを感じている学生のみなさんにおすすめするのは活動地にできるだけ長く滞在することですね!

1泊2泊の滞在もいいと思いますが、長期休暇を活用して2週間滞在できたなら地域を知り地元の人との交流する時間が確保できてくると思います。

私たちも学生時代に1週間泊まり込みの改修工事をやってきて、自分たちのプロジェクトに対する地域からの期待感や立ち位置などを確認することができました。

コストをかければそれだけ愛着が湧くものだと思っているので、学生当時私も好きになるまで自腹で東伊豆に通ったというところがありました(笑)

 

今考えると空き家を提供してくれるという環境がどれだけ恵まれていたことか。

当時の私たちは受けた恩は労力で返すしかありませんでした。

通って活動し続けて、地域おこし協力隊になった今に至ります。

森本さん
森本さん
荒武
荒武

森本さんは学生時代からよそものである学生たちが地域で活動することについて確信を突く話をしてくれていたことを思い出しました(笑)

それにやられて自分は移住しちゃったんですよね。

そんな森本さんが地域おこし協力隊になる前の学生活動や社会人生活をどのような思いで過ごしていたのか、お教えいただいてもよろしいでしょうか?

空き家改修プロジェクトの初年度は空き家を一つ改修したら地域の何かがかわるのでは?と活動をはじめました。

実際は、箱物を作るだけでは何も変わらなくて、活動を進める中で学生を連れてくることになにか大きな意味があるのではないか?という視点を持ちました。

取材を受けてテレビのリアクションをもらうことで地域が活気づくのを感じられたり、ビジネスコンテストでも評価されていたこともあって、我々学生の活動は社会に求められている活動なんだなという感覚がありました。

活動を定着させることは大切だと思ったし、この流れが続けられるといいなという思いはあったものの、その器は空き家改修プロジェクトでなくても、自分に続く人材が現れたらいいなと思って過ごしていました。

 

最初は町から提供いただいたアパートに寝袋敷いて雑魚寝していたところから始まったんですよね。

地域のことなどお構いなしで自分たちのアイデアの実現に興味津々だった頭でっかちの荒武たち、建築設計を専攻していたチームが地域のことを第一に考えるようになっていくのは見ていて気持ちよかったですね。笑

 

学生時代の二年間で4物件、約2000万円のお金を使って空き家を改修。後輩もたくさん参加している学生団体の創設者という自分は就職受けもよかったです。

地域に入り込んでプレイヤーとしてやっていきたいというスタンスで就活をしていたら、前職の上司が面接官で、その人が立ち上げる社内ベンチャーで仕事をすることに。

就職してからは仕事が忙しく東伊豆にはほとんど来れずに6年間が経過。

いずれ東伊豆に戻るというイメージを漠然と持っていたため、戻るからにはスキルを取得しようと思って就職しましたが、就職後はあまりの激務で考えられませんでした。

空き家改修プロジェクトの同級生たちを中心に立ち上げたNPOの活動と自分の仕事が土日中心で被ってしまっていたため東伊豆のことに関われず悶々と過ごしていたことを覚えています。

その間に東伊豆ではNPOの事業規模が大きくなっていたり、移住者が増えていたり、面白そうな展開が起こっているという情報は追うことができていました。

就職当初の所属プロジェクトが落ち着き配属が変わったことで、奥さんに今の仕事つまらないんでしょと核心を突かれ、楽しく仕事がしたいな、自分でやるのがいいだろうなと考えたときに東伊豆町の地域おこし協力隊になって、独り立ちするための準備期間を過ごすことを決めました。

森本さん
森本さん
荒武
荒武

一つの町に関わることでどれだけの学びがあるのかが森本さんのお話を聞いていてよくわかりますね。

東伊豆を思い続けられる力の源は、原点である地域への恩返しになってくるんだろうなと思いました。

東伊豆に移住してからはいかがお過ごしですか?

また暮らすなかでどのように仕事を作っていけたらいいかのお考えを教えてもらいたいです。

まず、東伊豆に移り住んだという時点で地域からのポイントが高く、ただ暮らしているだけで喜んでもらえることに、このままではいけないな、早く地域の一員になりたいなと思っています。

商工会青年部のみなさんと交流が持て、集まりにお声がけいただけるようになったり、そのつながりでお仕事をさせてもらったり、地域のイベント「ほしそらシネマ」の実行委員に入れてもらったりと徐々に地域の一員になれているのかなと思っています。

ほんとは農家さんのお手伝いにも行きたいんですが、時間が足りません。

地域側には様々な場面で人が足りていないんだなという印象を持つことが多いです。

 

仕事については地域側から求められる立ち回りがあると感じており、そこに適応しながらこの土地の人になっていきたいです。

共感してくれる人と一緒にやっていけたらいいなと思っていて、現在は緊急で人手が求められる場面が多いので、すぐに手や体を動かせる人、やれる人が今この土地には必要だと感じています。

瞬発力やスピード感が求められるから、本当にやりたい人が集まってくれたらいいなと。

 

暮らしながら情報収集をしていますが地域の課題についての情報量が多すぎて、キャパオーバーになりつつあります。

一次産業や観光のことなど自分だけでは補えない領域の課題がたくさんあることがわかってきたからこそ、課題の共通項として、原点である空き家を含めた遊休施設の活用をしていくことで、解決につながる動きが作っていけそうだという思いはあるので、それぞれの領域で連携を深めてどんどん担い手を増やしていくことがこの土地にとって最終的に大切になってくるのではないかなと思っています。

森本さん
森本さん
荒武
荒武

ものすごいスピードで地域に馴染んでいっている様子を聞かせてもらうたび、計り知れない覚悟を持って移住してたんだなと感じさせられますね。

学生時代から地域と向き合う姿勢を磨いてきた森本さんならではの事業展開がとても楽しみです!!

その姿勢からまたたくさんのことを学ばせてもらえることとてもうれしく思うとともに、今後の展開をご一緒できること楽しみにしています!

この度はインタビューにお答えいただきましてありがとうございました!!