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内山義政さん
大学院 博士課程

東伊豆町民インタビューNO.10 内山義政さん

荒武
荒武
こんにちは!
本日は、細野高原の研究をされている内山義政さんにインタビューさせていただきます!
内山さん本日はどうぞよろしくお願いいたします!
まず、内山さんの生い立ちを教えてください。
稲取生まれの稲取育ちで、今では屋外に出た研究を行っており、幼少期から理科は好きでしたが、インドア派で虫がさわれないような子どもでした。
子供の頃の東伊豆の自然で印象に残っているのは、細野高原への遠足の思い出です。他には総合の授業で稲取大川の水質調査を兼ねて源流を辿る探検などしていたのを覚えています。
中学・高校あたりに本で「生物多様性」という言葉を覚え、地球上には名前がつけられていない生物がまだたくさんいるということを知りました。
自分もその道に進めばまだ発見されていない新しいことが見つかるんじゃないかという気持ちがあったので、大学では生物学を学ぶことを決めました。
稲取や伊豆ではあまりいなかったのですが、大学には虫取り網を持たせたら走り回って虫採りを始めるような生き物好きな同級生が多くいました。
そこから京都の大学院に進学し、環境と生物の関係性について研究する「生態学」という分野に進みました。
大学院では周りの研究のレベルの高さに圧倒されて、自分は何をしたかったのか?何を研究するのか?を迷う時間を過ごしました。そして社会人になったら伊豆で仕事をしながら、細野高原の研究ができたらいいなと考え就職先を選び、静岡県庁の林業職に就職しました。
フィールドワークをやっている研究者にとって、立ち帰れる場所、「ならい」のような場所を持っていることが重要であるという言葉に出会いました。
僕にとってはそれが伊豆であり、細野高原なんだと思います。
現在もう一度大学に入り直しているんですけど、研究では常に新しいことを調べる必要があります。
論文作成に詰まったりすると、細野高原の三筋山で霧が流れるのをぼーっと眺めていると新しいことが浮かんできたりします。
内山さん
内山さん

荒武
荒武
内山さんは今も昔も研究家の気質をお持ちだったんですね。
自分自身の原点となる場所を持つことが大事だという言葉に僕も共感します。
続きましては、現在内山さんが就職されてから今に至るまで細野高原で取り組まれていることをお教え下さい!
就職した翌年、2013年の夏に環境省がやっている「モニタリングサイト1000里地調査」というボランティアが募集され、調査地に細野高原を設定して応募しました。
この取り組みは最低5年間同じ場所で、ある特定の自然データを調査し、自然環境の変化を追いかけていこうという取り組みで細野高原では植生調査をメインで行っています。
内山さん
内山さん

「モニタリングサイト1000里地調査」

細野高原で調査を始めたころは、関係者には話を通して入らせてもらっていたのですが、すすきイベントのときなどに不審者と勘違いされて呼び出されてしまったことなどもありました。笑
2019年の4月から仕事を休職し大学院の博士課程として研究に取り組んでいる現在は、周りから認知されるようになりそういうこともなくなってきました。
今、細野高原のモニタリング調査は8年目で2期目に突入しています。
自然保護団体などグループで参画しているモニタリングサイトもありますが、細野高原の場合は僕個人で応募し調査を進めています。
休職する以前に集めた細野高原のデータを元に、現在はより発展的な研究を進めています。
内山さん
内山さん

博士課程で取り組まれている研究テーマを、資料に沿ってご説明いただいた

里地里山はレクリエーションや景色を楽しむものだけではなく、多様な生態系サービスが得られる場所です。
特に草原生態系は減少傾向にあって、そうした自然の恵みを得る機会が減ってきています。
細野高原は伝統的な山焼きによってそれらが維持・管理されていますが、観光・自然環境保護・管理・農業的な活用など様々な立場の価値観が混在している場所になります。
まず保全の重要性なエリアを絞ることが今後の維持・管理の重要な判断基準とすることができるという構成の論文を作っています。
内山さん
内山さん

過去の航空写真から草原が占めている面積を専用ソフトで算出した内山さん作成のデータ

荒武
荒武
あの広大な草原の環境についてお一人で調査を進めているなんて、改めて内山さんはすごい方だなと思いました!!
内山さんは細野高原でこれからどのようなことをしていこうと考えていますか?
また、どんな人たちとそういうことができるといいと考えますか?
将来的には、今まで細野高原を研究してこられているネイチャーガイドのみなさんの跡を継いでいきたいという気持ちが強くあります。今は遠方なので、活動に参加しにくい状況ではありますがこれから一緒に、弟子入りさせていただいて細野の自然が蓄えてきた歴史を引き継いでいきたいと思っています。
僕は基礎的な自然環境の変化を記録して発信して、科学的な立場で細野高原という世界的に見ても貴重な自然が維持されていることを観光地としてだけでなく、自然環境の立場で広めていくことが自分の役割だと考えています。
もちろん地域の内外で、山焼きなど管理をしていかないといけないので経済的にも人的にも回していかないといけない。
環境教育や観光と組んでいく可能性を考えてきたんですが、一人でマルチプレイヤーになればいいという話だと思っていたのですが、環境教育の分野で藤田さんが入ってきたり、荒武さんもいる。若手で一緒にやっていける方々がどんどん増えてきているので自分はあくまで自然環境の基礎の部分を担う立場で一緒に面白いことが出来たらいいなと思っています!
内山さん
内山さん

2019年12月 観光イベントの一環として細野高原で作った“すすき泊まり”

荒武
荒武
自分もお役に立てたらいいなと思っています!!
内山さんにしか立てない立場があるし自分にしか立ち回れない部分もあると思うので、みんなで特技を組み合わせながら連携して、これからの細野高原を継承していくための取り組みを進めていきたいですね!!
ちなみに、内山さんが活動をする上で現在困っていることを教えていただいてもよろしいでしょうか?
一緒に細野高原の調査を手伝ってくれる人を募集しています!
現在は一人でやっていて、哺乳類の自動撮影カメラを設置して、シカやイノシシの増加・分布データを取りたかったり、湿原に入ってくる湧水量の調査など…
一人ではやりきれないので、そういうことに興味がある人がいたら是非一緒にやりたいです!
調査エリアの距離が長く、道沿いに咲いている花を記録していくという作業なので大変なのですが、7年間続けてノウハウが溜まってきたので調査方法をお教えすることができます。
内山さん
内山さん

細野高原の調査は「ライフワーク」と話す内山さん、山に入ると調査モードに

荒武
荒武
声を大にして、然るべきコミュニティに届ければきっと調査に協力してくれる人はいると思います!
当時の内山少年のような、自然環境に関心がある中学生・高校生のお子さんもいると思うので、そういった弟子を育成していくのも大事ですよね!
ましてや、博士課程まで進んでらっしゃる内山さんから直接ご指導いただけるなんて最高の学びの場ですよね!
今回は内山さんの取り組まれている研究や胸のうちに秘めた細野高原活用に対する思いについてお話を聞かせていただきました!
内山さん、ありがとうございました!!